Japanese
English
TOPICS 神経精神医学
矯正精神医療の現状と課題
Current situation and issues of correctional psychiatry
奥村 雄介
1
Yusuke OKUMURA
1
1東日本成人矯正医療センター
pp.1003-1004
発行日 2024年9月14日
Published Date 2024/9/14
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290111003
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矯正精神医療1)の対象
疾病が個体病理であるとするなら,犯罪・非行2)は社会病理であり,その2つの問題を同時に抱えているケースは,触法精神障害者とよばれている.触法精神障害者には3つの受け皿がある.刑事訴訟法・刑事収容施設法による矯正医療,精神保健福祉法による措置入院,医療観察法による医療観察法医療の3つである.刑事司法鑑定で心神喪失,措置診察で治療不要となり,刑罰も治療も受けない事例が存在していたところ,大阪の池田小学校事件を契機として作られたのが医療観察法である.医療観察法の対象は殺人3),放火,強制性交など6罪種にあたる凶悪犯のなかで,刑事司法鑑定において心神喪失または心神耗弱になった者であり,かつ疾病性,治療可能性,社会復帰要因の三要件を満たす場合に限られている.したがって治療可能性という要件から,主診断が人格障害4),知的障害,認知症,発達障害,薬物依存などは除外されるので,処遇困難・治療困難な者の大半は除かれ,依然として矯正医療の対象になっている.
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