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第5土曜特集 内分泌疾患の温故知新――日本内分泌学会創設100周年を目前にして
副甲状腺とカルシウムミネラル代謝
ビタミンDと全身疾患
Vitamin D associated systematic disease
井上 玲子
1
,
井上 大輔
1
Reiko INOUE
1
,
Daisuke INOUE
1
1帝京大学ちば総合医療センター第三内科
キーワード:
ビタミンD
,
ビタミンD欠乏・不足
Keyword:
ビタミンD
,
ビタミンD欠乏・不足
pp.733-737
発行日 2024年8月31日
Published Date 2024/8/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290090733
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ビタミンDは抗くる病因子として同定され,当初,生体に必須の微量栄養元素と考えられていた.しかしその後,肝臓や腎臓での代謝により1α,25水酸化ビタミンD(1,25(OH)2D)に変換され,各標的臓器のビタミンD受容体(VDR)に結合して作用を発揮することがわかり,現在ではホルモンとみなされている.ビタミンDの主作用は,腸管からのカルシウム・リン吸収の促進と,副甲状腺ホルモン(PTH)との協調作用による腎遠位尿細管でのカルシウム再吸収の促進であり,これによりカルシウム・リン積や骨石灰化を維持している.重度のビタミンD欠乏は骨軟化症やくる病の原因となるが,石灰化障害を起こすほどでない不足・欠乏も骨粗鬆症のリスクや薬物治療反応性の低下などをもたらす.また,ビタミンD不足・欠乏は,悪性腫瘍や感染症,糖尿病など,さまざまな疾患との疫学的関連が知られている.しかし多くの場合,ビタミンD補充による効果は認められず,真の因果関係が証明されている骨外疾患はほとんどない.
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