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連載 臨床医のための微生物学講座・Vol.18
ウイルス性出血熱
Viral hemorrhagic fever
加藤 康幸
1
Yasuyuki KATO
1
1国際医療福祉大学成田病院感染症科
キーワード:
ウイルス性出血熱(VHF)
,
動物由来感染症
,
多臓器不全
Keyword:
ウイルス性出血熱(VHF)
,
動物由来感染症
,
多臓器不全
pp.247-252
発行日 2024年7月20日
Published Date 2024/7/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290030247
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◎ウイルス性出血熱(VHF)は特定のRNAウイルス(フィロウイルス科,アレナウイルス科,フェヌイウイルス科,ハンタウイルス科,フラビウイルス科に分類されるウイルスの一部)を病原体とする急性の発熱性疾患群である.デング出血熱を除き動物由来感染症であり,病原体の宿主の生息地により疾患の地理的分布がおおよそ規定されている.致命率が高く,ヒトからヒトに直接伝播する疾患が含まれ,なかでもラッサ熱,南米出血熱,エボラ出血熱,マールブルグ病,クリミア・コンゴ出血熱は,感染症法により1類感染症に指定されている.
◎共通した病態生理学的特徴として,血管障害と凝固障害をあげることができる.血管障害の一部である血漿漏出はショックや肺水腫,胸腹水の原因となる.また,播種性血管内凝固による出血傾向は出血熱という名称の由来ともなっているが,死因となるような大量出血はまれである.治療は臓器不全期における輸液などの全身管理が中心となる.近年ではエボラ出血熱に対して有効な中和抗体薬やワクチンが欧米で承認され,これ以外の疾患に対しても医薬品の開発が進められている.
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