Japanese
English
TOPICS 疫学
アフリカにおける妊婦の口腔衛生と出産リスク
Oral hygiene and its risk of childbirth among pregnant women in Africa
有馬 弘晃
1
Hiroaki ARIMA
1
1長崎大学熱帯医学研究所国際保健学分野
pp.243-244
発行日 2024年7月20日
Published Date 2024/7/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290030243
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妊娠中の歯周病罹患が早産の誘発リスクとなることをSteven Offenbacherらが1996年に世界ではじめて報告した1).その後の基礎研究,臨床研究により,妊婦が歯周病に罹患しているとプロスタグランジンE2や炎症誘発性サイトカインであるIL-1β,IL-6などの産生が促進され,また歯周病菌自体も血中に入り胎盤での炎症を誘発することが明らかになってきた.これらの炎症が胎児発育抑制や早期の子宮収縮をきたす2,3)(図1).こういった背景から,米国CDCやヨーロッパ歯周病連盟,さまざまな歯周病関連学会は,妊娠中の歯周病ケアが早産や低体重児出生の予防に重要であるとしてきた.一方で早産率や低体重児出生率が大きな保健課題となっている途上国では,マラリアや結核,寄生虫疾患など多くの感染症に曝されており,自覚症状に乏しい歯周病の治療や対策は遅れている.本稿では,筆者が行ったルワンダ農村部での調査結果4)(図2)やアフリカの妊婦を対象とした他の研究事例を紹介する.
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