今月の主題 プロスタグランジン
技術解説
プロスタグランジンの測定
稲川 壽夫
1
Toshiwo INAGAWA
1
1小野薬品工業㈱中央研究所生物科学部門
pp.128-135
発行日 1983年2月15日
Published Date 1983/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911791
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多様な生理作用を示し,多くの構造類似体を有する体内産生特殊脂肪酸プロスタグランジン(PG)は,必須脂肪酸の増炭,不飽和化を経た後のTCAサイクルに入ってエネルギーを産生する本来の代謝系に加えて,主にアラキドン酸を基質とする,シクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase)とリポキシゲナーゼ(lipoxygenase)という異なった酸素添加酵素を介して産生されるPGやトロンボキサン(TX),ロイコトリエン(LT)の代謝系と相互に重なり合って,壮大な代謝の流れ(カスケード)の一つとして位置づけられるようになってきた.筆者がPGに接し始めた15,16年前ごろは年間約20報程度だったPG研究報告が,今では毎週その程度は発表されていることからも,その発展ぶりにはすさまじいものがある.
測定法においてもしかりである.今まで多くの検出手段がPGの測定に応用されてきたが,扱う検体が多様なうえに生体内濃度がきわめて低くて,実際的な方法は少なかった.いかなる検体の,いかなるPGでも,同一の方法で測定できるような,そんなPG定量標準法のようなものはまだ確立されていない現状である.したがって,本稿ではより普遍的な点に的を絞ってみた.
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