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第5土曜特集 血管・リンパ管研究の最前線と治療への展開
血管構築と血管機能・病態
造血幹細胞ニッチを形成する新たな血管起源の解明
-――内皮細胞の起源が血管多様性に与える影響
A new vascular origin for the hematopoietic stem cell niche
中嶋 洋行
1
Hiroyuki NAKAJIMA
1
1国立循環器病研究センター研究所細胞生物学部
キーワード:
内皮細胞多様性
,
細胞起源
,
生体イメージング
,
造血幹細胞ニッチ
Keyword:
内皮細胞多様性
,
細胞起源
,
生体イメージング
,
造血幹細胞ニッチ
pp.997-1001
発行日 2024年6月29日
Published Date 2024/6/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289130997
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血管を構成する血管内皮細胞は,各臓器・組織において多様な形態や機能を持つ.たとえば造血組織では,血管内皮細胞が造血幹細胞の維持や増殖に必要な微小環境(ニッチ)を作ることが知られている.しかし,このような血管内皮細胞の多様性がどのように生み出されるのかについては,いまだ十分な理解が得られていない.近年の研究により,血管内皮細胞の起源自体が多様であることが明らかになってきた.では,血管内皮細胞の起源の違いは,機能の違いを生み出すのであろうか.筆者らはゼブラフィッシュを用いて,発生期の造血幹細胞ニッチを形成する血管内皮細胞の多くが,通常の内皮細胞の起源である中胚葉ではなく内胚葉から派生することを見出した.これにより,血管内皮細胞の多様性が環境要因だけではなく,細胞の起源によっても規定されることが明らかになってきた.本稿ではこれらの最新の研究成果を紹介しながら,血管内皮細胞の起源と多様性獲得について概説する.
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