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第1土曜特集 リンパ腫――病態研究と診療の最新知見
臨床の話題
慢性GVHDにおける新薬
Novel agents for chronic graft-versus-host disease
稲本 賢弘
1
Yoshihiro INAMOTO
1
1藤田医科大学医学部造血細胞移植・細胞療法学
キーワード:
慢性移植片対宿主病(GVHD)
,
分子標的治療
,
NIHコンセンサス会議
Keyword:
慢性移植片対宿主病(GVHD)
,
分子標的治療
,
NIHコンセンサス会議
pp.711-715
発行日 2024年6月1日
Published Date 2024/6/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289090711
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慢性移植片対宿主病(GVHD)は,同種造血細胞移植後の合併症のひとつである.自己免疫疾患に類似した症状を呈し,皮膚,眼,口腔,肺,食道,消化管,肝臓,筋肉,関節・筋膜,生殖器,漿膜などのさまざまな部位が標的となる.近年,発症メカニズムに関する動物モデルの知見が増え,急性炎症にはじまり,慢性炎症・免疫調節不全を経て,最終的に組織の線維化をきたして後遺症を残すという3段階のモデルが定説となり,Th17細胞,Tc17細胞,制御性T細胞,濾胞性ヘルパーT細胞,B細胞,線維化促進因子などを含む病態機序が明らかとなった.さらにNIH国際基準が定義されたことで薬剤開発のスキームが整備され,現在さまざまな機序を標的とした分子標的治療薬の開発が世界中で進んでいる.わが国においても体外フォトフェレーシス(ECP),BTK阻害薬,JAK阻害薬が薬事承認された.海外ではROCK2阻害薬や抗CSF-1受容体抗体の薬事承認や開発が先行している.
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