Japanese
English
特集 十二指腸・小腸疾患アトラス
Ⅱ.炎症性疾患
治療行為に伴う粘膜傷害
GVHD小腸炎
Intestinal graft-versus-host disease (GVHD)
横山 佳浩
1
,
仲瀬 裕志
1
Yoshihiro Yokoyama
1
,
Hiroshi Nakase
1
1札幌医科大学医学部消化器内科学講座
キーワード:
移植片対宿主病(GVHD)
,
絨毛の脱落
,
空胞変性を伴うアポトーシス
Keyword:
移植片対宿主病(GVHD)
,
絨毛の脱落
,
空胞変性を伴うアポトーシス
pp.636-637
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001398
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疾患の概要
移植片対宿主病(graft-versus-host disease:GVHD)はドナーリンパ球がレシピエントの組織適合抗原を非自己と認識し,腸管や肝臓,皮膚などを標的として免疫学的に攻撃する反応である。GVHD腸炎の病態はおもにドナー由来の組織障害性T細胞による腸管上皮細胞への直接傷害,T細胞由来のサイトカインによる組織傷害と考えられ,近年では腸管幹細胞への傷害や腸内細菌叢異常の関与も示唆されている1)。多くは移植後100日以内にみられ(古典的急性GVHD),100日以降に発症する非典型例は遅発性急性GVHDと定義する2)。急性GVHDの出現頻度は30~60%とされている。罹患部位は小腸が最も多く,カプセル内視鏡やバルーン内視鏡の発展により早期診断が可能となっている。病状が進行すると,麻痺性イレウスや重篤な場合では敗血症性ショックを起こし,予後不良となりうるため早期の診断・治療が必要である。
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