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特集 ヘマトネフロロジー
各論:各疾患と腎障害の相互の病態関連と腎障害に対する治療
GVHDと腎障害
Relationship between GVHD and kidney disease
栂野 富輝
1
,
日髙 寿美
2
,
小林 修三
2
TOGANO Tomiteru
1
,
HIDAKA Sumi
2
,
KOBAYASHI Shuzo
2
1湘南鎌倉総合病院血液内科
2湘南鎌倉総合病院腎臓病総合医療センター
キーワード:
GVHD
,
腎障害
,
同種造血幹細胞移植
Keyword:
GVHD
,
腎障害
,
同種造血幹細胞移植
pp.77-83
発行日 2025年7月25日
Published Date 2025/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001966
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はじめに
造血幹細胞移植は,大量化学療法を目的とした自家造血幹細胞移植と,造血幹細胞を入れ替えることや移植免疫を目的とした同種造血幹細胞移植に分けられる(図)。移植片対宿主病(graft versus host disease:GVHD)は,同種造血幹細胞移植後に発生する免疫反応で,移植されたドナーのリンパ球がレシピエントの組織を攻撃することによって引き起こされる。GVHDは自家造血幹細胞移植では起こらない。同種造血幹細胞移植の抗腫瘍効果は,移植前処置時の大量抗がん薬や全身放射線照射(total body irradiation:TBI)のみならず,抗腫瘍免疫である移植片対白血病効果/移植片対腫瘍効果(graft versus leukemia effect/graft versus tumor effect:GVL/GVT)に依存することがよく知られている1)。しかしながら,治療効果を得るためにGVL/GVTのみを出して,GVHDを抑えることはできないのが現状であり,造血器悪性腫瘍に対する同種造血幹細胞移植では,軽度GVHDを許容してGVL/GVTを引き出して治療を進めることが標準治療となっている。

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