病気のはなし
GVHD
長尾 桓
1,2
,
内田 久則
1,2
,
別宮 好文
1,2
1東京大学医科学研究所外科
2東京大学医科学研究所移植科
pp.570-575
発行日 1993年7月1日
Published Date 1993/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901614
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サマリー
GVHD(移植片対宿主病)は骨髄移植に伴う重篤な合併症として知られているが,臓器移植後や輸血後にもみられる.発症時期により急性型と慢性型に分けられる.急性GVHDは移植後約100日以内に発症し,発熱,皮膚症状,肝障害,消化管症状が特徴的である.また慢性GVHDは移植後約100〜400日に発症し,自己免疫疾患に酷似する多彩な病像を呈する.成因については不明の点も多いが,外部より移入されたドナー由来免疫担当細胞による宿主組織への攻撃である.診断は臨床経過と罹患臓器の生検組織所見によりなされる.GVHDはいったん発症すると予後不良であり,対策の主眼は治療よりも予防に向けられている.輸血後GVHDは輸血の後に急性GVHDとして発症するが,最近の調査でその実態が明らかになりつつある.特に本症では予防策が非常に有効であり,ほとんどの例は発症を未然に防ぐことが可能である.
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