Japanese
English
特集 便秘を科学する
精神科と便秘
-――精神科における便秘診療を解きほぐす
Psychiatry and constipation
――Unraveling constipation care in psychiatry
長尾 知子
1
,
池本 正平
1
,
江川 直人
1
Tomoko NAGAO
1
,
Shohei IKEMOTO
1
,
Naoto EGAWA
1
1東京都立松沢病院内科
キーワード:
薬剤性便秘症
,
アントラキノン系刺激性下剤
,
麻痺性イレウス
,
器質性便秘
,
非刺激性下剤
Keyword:
薬剤性便秘症
,
アントラキノン系刺激性下剤
,
麻痺性イレウス
,
器質性便秘
,
非刺激性下剤
pp.569-572
発行日 2024年5月25日
Published Date 2024/5/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289080569
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精神科ではほとんどの症例で薬剤性便秘の要素を有するが,薬剤性と決めつけず器質性便秘を除外する必要があることを忘れてはならない.器質性便秘を除外し,薬剤性便秘と判断しても,便秘だけを理由に中止することは難しく,原因薬剤を継続しながらの排便コントロールが必要となることもしばしばである.わが国ではアントラキノン系刺激性下剤が長きにわたり連用されていたが,同薬剤は麻痺性イレウスの発症リスクとなることが報告されており,連用は厳に慎むべきである.近年,向精神薬も便秘治療薬も進歩しており,ようやく精神疾患の治療と便秘治療が両立できる時代が到来した.これからは非刺激性下剤をベースに,頓用が必要な場合はアントラキノン系ではなく,ピコスルファートNaを使用することで,便秘を重症化させず,麻痺性イレウスを起こさない精神科医療が可能であると考える.また,本稿では混同されがちな腸閉塞,麻痺性イレウス,巨大結腸症といった用語についても解説する.
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