Japanese
English
特集 便秘を科学する
はじめに
-――なぜ,いま便秘か
Introduction
――Why constipation now?
中島 淳
1
Atsushi NAKAJIMA
1
1横浜市立大学大学院医学研究科肝胆膵消化器病学教室
pp.545-545
発行日 2024年5月25日
Published Date 2024/5/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289080545
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- Abstract 文献概要
“便秘といえば女性の病気,生活の質(QOL)を低下させるが生命予後には関係ない” は過去の話
内科の教科書で慢性便秘症の項目をひも解くと,過敏性腸疾患とともに “QOLは低下させるが生命予後には影響しない” と記載されているが,実は状況は大きく変わってきている.便秘患者は60歳未満では確かに女性が多いが,患者の多くは60歳以上で,しかも高齢になれば性差があまりない,しかも超高齢社会の到来で患者数が著増している.泌尿器科や婦人科など内科のみならず,あらゆる診療科に患者が多くいる.しかも最近の大規模疫学研究では,便秘患者の生命予後が有意に悪いことが国内外の報告で明らかになっており “便秘は死ぬ病気” であることが明らかになった.その多くは心血管イベントである.高齢者の便秘は食事摂取量の低下を招き,フレイル・サルコペニアの悪循環につながる深刻な健康上の問題を引き起こし,まさに治療しなければならない病気になってきた.
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