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特集 活性酸素と酸化ストレス
活性酸素による代謝系のリモデリングはマクロファージの活性化ならびに脂肪性肝疾患の原因となる
Remodeling of the metabolic system by reactive oxygen species leads to macrophage activation and fatty liver diseases
藤井 順逸
1
Junichi FUJII
1
1山形大学大学院医学系研究科先進的医科学専攻生化学・分子生物学講座
キーワード:
M1マクロファージ
,
小胞体ストレス
,
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)
Keyword:
M1マクロファージ
,
小胞体ストレス
,
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)
pp.267-270
発行日 2024年4月27日
Published Date 2024/4/27
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28904267
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細胞内のシグナル伝達や代謝に関わる分子はレドックス感受性が高く,酸化修飾を受けやすい.そのため,微量の活性酸素種(ROS)はこうした細胞機能の制御に利用されるが,過剰となった場合には細胞の機能障害をもたらす.トリカルボン酸回路を構成するアコニターゼの鉄-イオウ[Fe-S]クラスターはROS感受性が高く,容易に不活性化されて代謝リモデリングが起こり,増加したクエン酸による脂肪酸合成が亢進する.この時,エネルギー代謝系は糖質からアミノ酸の利用にシフトする.分泌タンパク質の酸化的折り畳みを行う小胞体が酸化ストレスに曝されると,異常タンパク質が蓄積し,小胞体ストレス状態となる.その結果,脂質合成関連遺伝子の発現誘導を担うステロール調節領域結合タンパク(SREBP)が活性化し,脂質合成を亢進させる.酸化ストレス状態の肝臓では,脂肪合成の亢進とvery low density lipoprotein(VLDL)の分泌障害が起こり,脂肪性肝疾患の原因となる可能性がある.
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