Japanese
English
特集 がん微小環境の統合的解明と治療への応用
腫瘍間質制御によりがん免疫療法の効果改善を目指す治療戦略
Targeting the tumor stroma to improve the efficacy of cancer immunotherapy
千場 隆
1
,
石本 崇胤
1
Takashi SEMBA
1
,
Takatsugu ISHIMOTO
1
1公益財団法人がん研究会がん研究所発がん研究部
キーワード:
がん関連線維芽細胞(CAFs)
,
がん微小環境(TME)
,
がん免疫療法
,
マルチキナーゼ阻害薬
Keyword:
がん関連線維芽細胞(CAFs)
,
がん微小環境(TME)
,
がん免疫療法
,
マルチキナーゼ阻害薬
pp.191-194
発行日 2024年4月20日
Published Date 2024/4/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28903191
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がん関連線維芽細胞(CAFs)は,腫瘍の進展に関わることが知られている.近年の研究から,CAFsはさまざまな機序により抗腫瘍免疫を抑制していることが明らかとなってきた.CAFsが産生する細胞外マトリックス(ECM)は,殺細胞性免疫細胞が腫瘍へ到達するのを物理的に阻害している.また,CAFsの出す種々のサイトカインやケモカインは,殺細胞性免疫細胞の機能を減弱させ,一方で免疫抑制的な働きを持つ細胞を腫瘍内に増加させることで抗腫瘍免疫応答を抑制している.このような背景から,CAFsを標的としてがん免疫環境を改善させる研究が活発に行われている.筆者らのグループも,CAFsにおける血小板増殖因子受容体(PDGFR)を機能的に阻害することでCAFsをリプログラミングし,がん免疫環境の改善により免疫チェックポイント阻害薬の効果を向上させることを発見した.CAFsを標的とする治療を併用することで,がん免疫療法の効果を増強し,治療抵抗性患者の予後改善が期待される.
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