Japanese
English
第5土曜特集 遺伝統計学の新潮流――新規創薬・個別化医療への挑戦
遺伝統計学と疾患オミクス研究
希少難治性疾患・間質性膀胱炎の遺伝的背景
Genetic backgrounds for the disease risk of interstitial cystitis
秋山 佳之
1
,
曽根原 究人
2
,
岡田 随象
2,3
Yoshiyuki AKIYAMA
1
,
Kyuto SONEHARA
2
,
Yukinori OKADA
2,3
1東京大学大学院医学系研究科臓器病態外科学講座泌尿器外科学
2同遺伝情報学
3大阪大学大学院医学系研究科遺伝統計学
キーワード:
間質性膀胱炎(IC)
,
ハンナ型IC(HIC)
,
ゲノムワイド関連解析(GWAS)HLA遺伝子
Keyword:
間質性膀胱炎(IC)
,
ハンナ型IC(HIC)
,
ゲノムワイド関連解析(GWAS)HLA遺伝子
pp.1124-1129
発行日 2024年3月30日
Published Date 2024/3/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu288131124
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
ハンナ型間質性膀胱炎(HIC)とは,膀胱に関連する骨盤部の疼痛と頻尿,尿意亢進などの下部尿路症状を呈する原因不明の慢性泌尿器疾患であり,特に症状の強い重症型は指定難病となっている.女性優位の罹患率や他の自己免疫疾患を合併しやすいという疫学的特徴から,膀胱の免疫疾患であると考えられていたが,その病態生理はまったく不明であり,根治治療も開発されていない.しかし,近年の研究によりTh1/17型免疫応答の亢進や浸潤B細胞のクローナル増殖が明らかにされ,免疫疾患としての側面が徐々に明らかにされてきた.加えて,疾患ゲノム関連解析によって主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスⅡ分子の遺伝子多型が発症リスクに関連していることが明らかとなり,いよいよその全貌が見えつつある.今後は国際コンソーシアムによる大規模ゲノム解析の実施や,同定されたリスクバリアントの機能的意義を明らかにすることで,病態生理の解明や疾患バイオマーカー,治療薬開発の進展が期待される.
Copyright © 2024 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.