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第5土曜特集 遺伝統計学の新潮流――新規創薬・個別化医療への挑戦
遺伝統計学と疾患オミクス研究
中枢神経胚細胞腫の多層的オミクス解析
Multi-omics analyses on CNS germ cell tumors
高見 浩数
1
Hirokazu TAKAMI
1
1東京大学医学部附属病院脳神経外科
キーワード:
胚細胞腫
,
ゲノム解析
,
メチル化解析
,
ジャーミノーマ
,
ノンジャーミノーマ
Keyword:
胚細胞腫
,
ゲノム解析
,
メチル化解析
,
ジャーミノーマ
,
ノンジャーミノーマ
pp.1131-1137
発行日 2024年3月30日
Published Date 2024/3/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu288131131
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中枢神経胚細胞腫(以下,胚細胞腫)は日本を含む東アジアに多い,小児から若年成人に発生する腫瘍であり,基礎研究と臨床研究の両面において日本が世界をリードする数少ない脳腫瘍のひとつである.エキソームシークエンスにてRTK/MAPK経路の遺伝子変異が48%に,MTOR/PI3K経路の遺伝子変異が13%に認められた.RNAシークエンスでは融合遺伝子の同定はなかったが,遺伝子発現解析ではジャーミノーマは始原生殖細胞の,ノンジャーミノーマは組織・臓器に分化をする細胞の発現パターンを示し,組織型によって大きく異なった.メチル化解析ではジャーミノーマは全ゲノムにわたる極めて低いメチル状態を示し,発生段階において低メチル状態を示す始原生殖細胞由来であることを支持した.ゲノムワイド関連解析(GWAS)にてアポトーシスを誘導し,KIT/KITLG経路により抑制されるBAK1遺伝子のエンハンサー領域のバリアントとの関連が示された.胚細胞腫の極めて特殊な生物学的側面が明らかにされつつあり,さらなる解析により全貌が解き明かされることが期待される.
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