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第5土曜特集 遺伝統計学の新潮流――新規創薬・個別化医療への挑戦
遺伝統計学と疾患オミクス研究
原発性アルドステロン症の遺伝的背景と高血圧への寄与
Genetic background of primary aldosteronism and its contribution to hypertension
内藤 龍彦
1
Tatsuhiko NAITO
1
1Department of Neuroscience, Icahn School of Medicine at Mount Sinai, New York Genome Center
1Department of Neuroscience, Icahn School of Medicine at Mount Sinai, New York Genome Center
キーワード:
原発性アルドステロン症
,
ゲノムワイド関連解析(GWAS)
,
高血圧
,
Wnt/β-カテニン経路
Keyword:
原発性アルドステロン症
,
ゲノムワイド関連解析(GWAS)
,
高血圧
,
Wnt/β-カテニン経路
pp.1119-1123
発行日 2024年3月30日
Published Date 2024/3/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu288131119
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原発性アルドステロン症は二次性高血圧の主要な原因疾患であるが,その発症に関わる遺伝的因子は明らかでなかった.筆者らは,原発性アルドステロン症のゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施し,その発症リスクに関わる6つの遺伝子座を同定した.WNT2Bに最も強い関連を認め,その病態機序に対するWnt/β-カテニン経路の役割を強固にするものと考えられた.6つの遺伝子座は高血圧との関連が報告されていたが,本結果により原発性アルドステロン症に特異的に関わることが明らかとなった.さらに既知の高血圧関連遺伝子座42個のバリアントのオッズ比を調べたところ,2/3の28個が高血圧よりも原発性アルドステロン症についてより高いオッズ比を呈した.これは,原発性アルドステロン症の有病率(~10%)に比べて,高血圧全体の遺伝的背景の多くを占める可能性を示唆している.今後,各遺伝子座の機能的解析や病型に応じた層別化解析により,原発性アルドステロン症の遺伝的背景がさらに解明されうるであろう.
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