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特集 リキッドバイオプシーを用いたがん診療の未来図――早期発見から個別化治療まで
消化器がん治療におけるctDNAの現状と展望
The current landscape and prospects of ctDNA in gastrointestinal cancer therapy
武田 弘幸
1
,
砂川 優
1
Hiroyuki TAKEDA
1
,
Yu SUNAKAWA
1
1聖マリアンナ医科大学臨床腫瘍学
キーワード:
血中循環腫瘍DNA(ctDNA)
,
RAS遺伝子
,
微小残存病変(MRD)
,
効果判定
Keyword:
血中循環腫瘍DNA(ctDNA)
,
RAS遺伝子
,
微小残存病変(MRD)
,
効果判定
pp.105-109
発行日 2024年1月13日
Published Date 2024/1/13
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28802105
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消化器がん領域では,血中循環腫瘍DNA(ctDNA)を利用した研究が活発に行われている.ctDNAの解析は治療標的の特定のための検査として,組織を用いた遺伝子パネル検査を補完する役割を果たし,その有用性は評価されている.特に大腸がんにおいては,RAS遺伝子の状態をモニタリングし,抗EGFR抗体薬の投与のタイミングを検討する試みが行われている.外科手術後の連続的なctDNAのモニタリングは,微小残存病変(MRD)の検出に役立ち,術後の再発リスクを予測するバイオマーカーとして,今後の臨床応用が期待されている.また,化学療法の効果を早期に予測するバイオマーカーとして利用できる可能性があり,治療の効果判定や治療変更の判断などの一助となることも期待されている.このように,リキッドバイオプシーは非侵襲的なアプローチで,がん治療の最適化に寄与する可能性がある.消化器がんの診療においてリキッドバイオプシーは着実に導入されつつあり,欠かせないバイオマーカー検査として重要な役割を果たすであろう.
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