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第5土曜特集 アルツハイマー病――研究と治療の最前線
基礎
Aβ凝集とプロトフィブリル
Aβ aggregation and protofibrils
小野 賢二郎
1
Kenjiro ONO
1
1金沢大学医薬保健研究域医学系脳神経内科学
キーワード:
アミロイドβタンパク(Aβ)
,
プロトフィブリル
,
レカネマブ
Keyword:
アミロイドβタンパク(Aβ)
,
プロトフィブリル
,
レカネマブ
pp.889-892
発行日 2023年12月30日
Published Date 2023/12/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28713889
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アルツハイマー病(AD)の病態生理において,アミロイドβタンパク(Aβ)が異常凝集し,タウタンパクからなる神経原線維変化を経て死を引き起こすという神経細胞死を引き起こすという “アミロイド仮説” が提案されている.元来,脳内の不溶性アミロイド線維の蓄積がADを引き起こす神経毒性につながると考えられてきたが,近年,早期・中間凝集体の位置づけも重要視されている(オリゴマー仮説).特にレカネマブの第Ⅲ相臨床試験の結果とそれに基づく米国承認を受け,レカネマブの標的分子であるプロトフィブリルの病態が注目されている.筆者らは高速原子間力顕微鏡(HS-AFM)を主に用いて,プロトフィブリルがモノマーから最終段階である線維が形成される経路とは違った経路に位置する可能性があることや,プロトフィブリルが細胞外から膜損傷を与えて神経毒性を発揮することを報告した.さらに,レカネマブはプロトフィブリルへ高い親和性で結合し取り囲むことで,免疫機構が働きやすいことを示した.
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