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第8章 神経
[Alzheimer病]プロトフィブリルとlecanemab
小野 賢二郎
1
1金沢大学 医薬保健研究域医学系脳神経内科学
キーワード:
アミロイドβ蛋白(Aβ)
,
プロトフィブリル
,
lecanemab
Keyword:
アミロイドβ蛋白(Aβ)
,
プロトフィブリル
,
lecanemab
pp.673-676
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika134_673
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Summary
・Alzheimer病(AD)の病態生理において,アミロイドβ蛋白(Aβ)が異常凝集し,タウの蓄積とともに神経細胞に傷害を引き起こすという「アミロイド仮説」が提案されている.
・元来,脳内の不溶性アミロイド線維の蓄積がADを引き起こす神経毒性につながると考えられてきたが,近年,早期・中間凝集体の位置づけも重要視されている(オリゴマー仮説).
・とくにlecanemabの臨床第Ⅲ相試験結果とそれに基づく米国承認を受け,lecanemabの標的分子であるAβプロトフィブリルの病態が注目されている.
・われわれは,高速原子間力顕微鏡(HS-AFM)を主に用いてlecanemabが,プロトフィブリルへ高い親和性で結合して取り囲むことで膜傷害を介した細胞毒性を軽減させることを示した.
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