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第5土曜特集 アルツハイマー病――研究と治療の最前線
はじめに
-――アルツハイマー病治療の新時代に向けて
Introduction
――Toward a new era of Alzheimer’s disease treatment
岩坪 威
1
Takeshi IWATSUBO
1
1東京大学大学院医学系研究科神経病理学,国立精神・神経医療研究センター神経研究所
pp.875-875
発行日 2023年12月30日
Published Date 2023/12/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28713875
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- Abstract 文献概要
わが国でアルツハイマー病(Alzheimer’s disease:AD)に代表される認知症を患われる方の数は数百万名,社会損失は年間十数兆円に達し,われわれ国民の社会生活,経済活動にも重大な影響を及ぼしはじめている.2023年に,世界に先がけてわが国において開発され,ADの疾患修飾薬としてはじめて日米の規制当局から薬事承認の得られた抗アミロイドβ抗体薬レカネマブは,ADの本質的なメカニズムに直接働きかけ,その進行を抑える画期的な医薬品と申せる.その投与適否の診断には,核医学を用いたアミロイドPETスキャンが必須であり,また副作用の管理と安全な使用には磁気共鳴画像法(MRI)が重要な役割を果たす.これらの技術を,最近わが国でも急速に開発の進みつつある血液バイオマーカー診断と組み合わせることにより,認知症の超早期段階での治療に結びつくことが期待される.
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