認知症施策と共生社会実現に向けた取り組み

Dementia policies and efforts to realize an inclusive society

　高齢者，特に後期高齢者の増加によって認知症高齢者の数も増加を続けている．認知症の影響は社会的にも経済的にも極めて大きい．そうしたなか，認知症の人が認知症とともによりよく生きていくことができること，認知症の人が自分らしく暮らし続けることができる社会を作ること，つまり認知症における共生社会を目指すことが社会的に重要な課題とみなされるようになってきた．認知症施策における取り組みとしては介護保険制度の導入，認知症という用語への変更，オレンジプランや新オレンジプラン，認知症施策推進大綱などの国家計画の策定などがあげられる．さらに2023年には「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」も成立した．今後，政府において基本計画が策定されることとなっており，共生社会実現に向けた取り組みがより進められることとなる．本稿では，これまでの認知症施策や現在行われている施策，特に認知症地域医療に関するものを紹介する．