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特集 補体revisited――抗補体療法はどこまで進んだか?
はじめに
-――補体の多面性と関連疾患の多様性
Introduction
――Multifaceted nature of complement and the diversity of related diseases
堀内 孝彦
1
Takahiko HORIUCHI
1
1地方独立行政法人福岡市立病院機構福岡市民病院
pp.743-743
発行日 2023年12月9日
Published Date 2023/12/9
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28710743
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- Abstract 文献概要
補体(complement)は1880~1890年代にかけて抗体とともに微生物を死滅させる易熱性の血漿成分として発見された.その後の研究の進展に伴い,補体は感染防御に働く液性因子としての役割だけではなく,凝固系の活性化,免疫細胞の増殖や活性化,上皮細胞,神経細胞や骨などの臓器形成,組織の再生など “多面的” な機能を有することが明らかになってきた.実際の臨床においても,補体の過剰な活性化は自己免疫疾患,腎炎,心筋梗塞や脳梗塞などでの虚血再灌流障害,神経変性疾患,移植片対宿主病(graft versus host disease:GVHD)から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)重症化に至るまで,さまざまな炎症性疾患の病態形成に関わっていることが推測されている.補体が関与する疾患は実に “多様性” に富んでいる.
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