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特集 適応障害(適応反応症)の予防と対策
【総論】
“適応障害” と診断されがちな “新型/現代型うつ” の治療戦略
-―― “逃げたいこころ” への共感と理解を促す心理社会的支援
Treatment strategies for so-called “adjustment disorder” and “modern-type depression”
――Psychosocial approach to empower the empathy and understandings of unconscious “wanting to run-away” mind
加藤 隆弘
1
Takahiro A. KATO
1
1九州大学大学院医学研究院精神病態医学
キーワード:
現代抑うつ症候群(新型/現代型うつ)
,
閾値下うつ
,
回避性パーソナリティ障害
,
自己愛性パーソナリティ障害
,
TACS-22
Keyword:
現代抑うつ症候群(新型/現代型うつ)
,
閾値下うつ
,
回避性パーソナリティ障害
,
自己愛性パーソナリティ障害
,
TACS-22
pp.253-258
発行日 2023年10月28日
Published Date 2023/10/28
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28704253
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日本の精神医療現場では,若年層を中心として状況依存的な抑うつと回避傾向を特徴とする抑うつ症候群が2000年以降増加しており,こうした患者はマスコミ用語で新型うつ,現代型うつと称され,しばしば “適応障害” と診断されている.本稿では,適応障害と安易に診断されがちな “新型/現代型うつ” の特徴を紹介し,いわゆる適応障害や新型/現代型うつと称される患者に対する治療と対応のコツを呈示する.筆者らは,新型/現代型うつの特性を簡便に評価可能な自記式質問票であるTACS-22を開発しており,①社会的役割の回避,②不平不満に加えて,③低い自尊心という3つの下位因子を見出している.調和を重んじ “逃げない” 人たちを美徳としがちな日本社会において,こうした患者は “すぐ逃げる人” として偏見の対象になりやすい.予防・支援の要は,低い自尊心のため他人を責める,逃げざるを得ないことへの周囲の共感,自尊心を高めるエンパワーメント,そして “逃げたいこころ” の意識化とその上手な取り扱いを促す精神力動的支援であろう.
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