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第1土曜特集 人生100年時代を見据えて がんと生活習慣病(心疾患/糖尿病/CKD/MAFLD)を再考する──共通リスク因子,予防・治療の最新アプローチ
慢性疾患とがん
がん治療における腎障害
Renal dysfunction in cancer treatment
大張 靖幸
1
,
久米 真司
1
Yasuyuki OBARI
1
,
Shinji KUME
1
1滋賀医科大学糖尿病内分泌・腎臓内科
キーワード:
がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン
,
onco-nephrology
,
がん免疫療法
,
がんサバイバー
Keyword:
がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン
,
onco-nephrology
,
がん免疫療法
,
がんサバイバー
pp.795-803
発行日 2023年9月2日
Published Date 2023/9/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28610795
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腎疾患合併のがん患者は死亡率および重症度が高く,予後は不良である.がん治療における腎障害を扱う分野としてonco-nephrologyとよばれるサブスペシャリティ領域が登場し,複雑化するがん治療への腎臓内科専門医の関与の重要性が増している.がん患者の腎障害には,①がん自体に関連するものと,②がん治療に関連するものがあり,臨床症状として急性や慢性の腎機能低下,蛋白尿,高血圧および電解質異常などがあげられる.一方,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)ががんに関連しているとの報告もあり,有効ながん薬物治療のためには適切な腎機能評価が求められる.近年,分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬による腎障害も多く報告されており,今後も新たながん治療薬の開発でその傾向が続くと考えられる.わが国では,2016年にがん薬物療法を行う患者の腎障害についての診療ガイドライン『がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン』が刊行され,2022年に改訂された.改訂では新たにがんサバイバーのCKD治療のセクションが追加され,一般とは異なる対応の必要性が議論されたが,確定的な見解には至っていない.
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