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第1土曜特集 人生100年時代を見据えて がんと生活習慣病(心疾患/糖尿病/CKD/MAFLD)を再考する──共通リスク因子,予防・治療の最新アプローチ
慢性疾患とがん
慢性腎臓病(CKD)とがん
-――疫学・病態解明の進歩
Chronic kidney disease(CKD)and cancer
――Advances in epidemiology and pathophysiology
金子 惠一
1
,
松原 雄
1
,
柳田 素子
1
Keiichi KANEKO
1
,
Takeshi MATSUBARA
1
,
Motoko YANAGITA
1
1京都大学大学院医学研究科腎臓内科学
キーワード:
慢性腎障害(CKD)
,
onco-nephrology
,
急性腎障害(AKI)
,
腫瘍随伴症候群
Keyword:
慢性腎障害(CKD)
,
onco-nephrology
,
急性腎障害(AKI)
,
腫瘍随伴症候群
pp.789-794
発行日 2023年9月2日
Published Date 2023/9/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28610789
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生活習慣病の増加と高齢化に伴い,がん患者と慢性腎障害(CKD)患者の両方が増加し続けている.がん患者に関連した腎障害という,腫瘍学(oncology)と腎臓病学(nephrology)の境界領域にさまざまな未解決問題が存在することから,onco-nephrologyという領域が注目されている.腎移植患者や透析患者を含むCKD患者はがん発症リスクが高い患者群であると考えられている.CKD患者でがん発症リスクが高い原因としては,①がん発症とCKDに共通したリスク因子が存在するという機序,②腎疾患やCKDの治療によってがん発症リスクが増加するという機序,③CKD患者で慢性炎症や尿毒症物質ががん発症リスクを高めるという機序,の3つが想定されている.また,がんの薬物療法が腎障害を惹起することも大きな問題であり,最近『がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン2022』が刊行されたので,ぜひご一読いただきたい.Onco-nephrology領域にはいまだ未解明な問題が残されており,さらなる研究の推進が必要である.
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