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第5土曜特集 腫瘍免疫――免疫ネットワークから考える基礎と臨床
免疫チェックポイント阻害薬の成功から続く展望
【新規がん免疫治療薬の開発】
がんゲノム医療と免疫治療の現状と展望
Current status and future prospects of genome medicine and immune therapeutics for cancer treatment
小関 準
1
Jun KOSEKI
1
1名古屋大学大学院医学系研究科附属神経疾患・腫瘍分子医学研究センター細胞情報統合解析部門
キーワード:
がんゲノム医療
,
がん免疫療法
,
プレシジョン医療
Keyword:
がんゲノム医療
,
がん免疫療法
,
プレシジョン医療
pp.561-565
発行日 2022年4月30日
Published Date 2022/4/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28105561
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がんにおいては遺伝子の突然変異(置換,再配列,欠損,挿入)や核酸修飾の付加・除去の蓄積によって細胞挙動が変化し,制御不能な増殖や悪性化が誘導されることが知られている.これらの遺伝子変化により本来の働きとは異なる異常なタンパク質の生成や,本来の量とは異なる異常な量を生成することがあり,結果としてがんを促進することもまた報告されている.このような遺伝子変異が両親からの受け継ぎや環境的な要因によって引き起こされるのはもちろんのこと,細胞分裂などの生命現象における自然なプロセスにおいてさえも生じることがわかってきたことから,がんゲノム研究が広くなされてきた.近年,わが国でもがん遺伝子パネル検査を用いたがんゲノム医療が取り組まれ,有効な薬剤を用いた個別化医療への道筋が立てられてきた.現状では有効な薬剤がみつかる可能性は臨床試験を合わせても10~20%と非常に低く,今後の進展をもたらすには,従来の抗がん剤だけではなく免疫治療薬の発展が強く期待されている.
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