Japanese
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特集 サイコーシスとは何か—概念,病態生理,診断・治療における意義
診断分類体系とサイコーシス
Psychosis and Diagnostic Classification Systems
近藤 伸介
1
Shinsuke Kondo
1
1東京大学医学部附属病院精神神経科
1Department of Neuropsychiatry, The University of Tokyo Hospital, Tokyo, Japan
キーワード:
診断分類
,
diagnostic classification
,
サイコーシス
,
psychosis
,
DSM-5
,
ICD-11
Keyword:
診断分類
,
diagnostic classification
,
サイコーシス
,
psychosis
,
DSM-5
,
ICD-11
pp.297-304
発行日 2021年3月15日
Published Date 2021/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206292
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抄録 精神医学の診断分類は,Kraepelinの時代から最新版のDSM/ICDに至るまで,臨床像に基づくエキスパートコンセンサスによって経験的に構築されてきた体系である。これらカテゴリー分類は使いやすい反面,さまざまな角度から課題があることが指摘されている。本稿では,サイコーシス関連の病態を中心に,現行のカテゴリー分類の持つ問題点を挙げながら,それを補完しようとする取り組みについて紹介する。例えば,DSM-5およびICD-11は,カテゴリー分類に加えてディメンション評価を併用することで個々の特徴を表すハイブリッド方式を採用している。
治療は医師と患者の協働作業であり,診療情報は患者に属するものという時代にあって,専門家に求められるのは,診断分類の精緻化ではなく,患者にとって自分にフィットする診断になっていくだろう。カテゴリー診断によって大掴みに分類してから,ディメンション評価で個別性を捉えるという二階建ての仕組みは,これからの個別化医療とも相性がよいかもしれない。
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