Japanese
English
第1土曜特集 統合失調症の未来――研究と治療
総論
統合失調症の脳病態解明の到達点・未達成点
-――取り組むべきこと
The brain pathophysiology of schizophrenia
――Achievements and future challenges
柳下 祥
1
,
笠井 清登
2
Sho YAGISHITA
1
,
Kiyoto KASAI
2
1東京大学大学院医学系研究科構造生理学
2同精神医学
キーワード:
統合失調症
,
脳病態
,
思春期発達
,
発症モデル
,
障害の社会モデル
Keyword:
統合失調症
,
脳病態
,
思春期発達
,
発症モデル
,
障害の社会モデル
pp.517-528
発行日 2023年8月5日
Published Date 2023/8/5
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28606517
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大規模ゲノム研究や脳画像研究により,統合失調症の脳病態について多くの知見が蓄積されてきている.しかし,脳病態の全容がわかってきたというにはまだ遠い状況である.そこで現在の到達点を,統合失調症の原因に関わる因子の探索,脳病態の特徴,および脳病態による症状理解という観点から整理する.そのうえで現在の未達成点について,脳病態理解および統合失調症の多様性と経過の観点から議論する.これにより浮上してくる今までアプローチが不十分だった課題や新たな課題について取り組むため,従来の生物医学パラダイムに縛られず,多因子に基づく病因や経過の捉え方,障害の社会モデルの視点を組み入れながら,研究アプローチを見直すことを提案する.このためには異なる立場,手法,価値を行き来する新たな翻訳(トランスレーション)を推し進めていくことが鍵となる.
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