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第1土曜特集 統合失調症の未来――研究と治療
トランスレーショナル研究
統合失調症のMRI脳画像トランスレーショナル研究
Translational MRI brain imaging study of schizophrenia
田中 謙二
1
,
阿部 欣史
1
Kenji TANAKA
1
,
Yoshifumi ABE
1
1慶應義塾大学医学部先端医科学研究所脳科学研究部門
キーワード:
淡蒼球
,
脳容積増大
,
統合失調症
,
レボドパ誘発性ジスキネジア
,
ドパミン
Keyword:
淡蒼球
,
脳容積増大
,
統合失調症
,
レボドパ誘発性ジスキネジア
,
ドパミン
pp.565-568
発行日 2023年8月5日
Published Date 2023/8/5
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28606565
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統合失調症を理解するために,統合失調症患者でわかったことを基にモデル動物を作製し,その解析を行う.その解析結果をヒトに外挿する,疾患の理解に役立てるなどヒト研究に立ち返る.この双方向性のトランスレーショナル研究が統合失調症を含む精神疾患全般の研究アプローチになりうる.双方向性の研究の推進のためには,ヒトとマウスで共通して使えるMRI脳画像解析が有用になろう.しかし,ヒトMRI研究では脳画像解析結果が意味する生命現象を推測するまでである.これに対してモデルマウスを使用したMRI研究では,脳画像解析結果を基に,さらに詳細な組織学解析を行うこともできるし,遺伝子操作や神経活動操作などの介入によって脳画像解析結果を生命現象と結びつけることもできる.ここに双方向性のトランスレーショナル研究の利点がある.統合失調症患者の淡蒼球の容積が健常人よりも大きいことが疾患研究によって示された.そこから筆者らは,モデル動物研究を生業とするサイドで淡蒼球が大きくなるマウスモデルを作製した.このモデルの神経解剖や分子生物学的メカニズムを徹底的に追求し,“淡蒼球が大きくなる” ことの神経科学的な意義に迫った.
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