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第1土曜特集 統合失調症の未来――研究と治療
トランスレーショナル研究
統合失調症の動物モデル・トランスレーショナル研究
Translational studies of schizophrenia using animal models
熊谷 友梨香
1
,
神出 誠一郎
1
Eureka KUMAGAI
1
,
Seiichiro JINDE
1
1東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻精神医学分野
キーワード:
母体免疫活性化(MIA)
,
ポリイノシン酸-ポリシチジル酸(Poly I:C)
,
統合失調症
,
環境リスク要因
Keyword:
母体免疫活性化(MIA)
,
ポリイノシン酸-ポリシチジル酸(Poly I:C)
,
統合失調症
,
環境リスク要因
pp.561-564
発行日 2023年8月5日
Published Date 2023/8/5
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28606561
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本稿では,統合失調症における病態の仮説に基づき,疫学データを基に環境リスク要因である周産期の母体感染をモデル化したポリイノシン酸-ポリシチジル酸(Poly I:C)モデルを紹介する.このモデルでは妊娠中の母体で生じた免疫反応が出生後の仔マウスの中枢神経系に長期持続する影響を与え,その後にドパミン神経系を中心とした神経回路の変化をきたし,若年期以降に記憶学習などの行動異常を呈する.また母体免疫活性化(MIA)の非特異性から,Poly I:C曝露がストレス脆弱性形成に関連する仮説も提唱されている.このように,多くの段階を経て形成されるPoly I:Cマウスの特徴に基づき,各段階に分けてこれまでの知見を概説する.周産期の免疫賦活による統合失調症の発症リスク増加の機序について,Poly I:Cマウスをはじめとした動物モデル研究の役割を明確にし,得られた知見を基に基礎と臨床の双方向性トランスレーショナル研究から解明に迫ることが重要である.
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