Japanese
English
特集 わが国の若手による統合失調症研究最前線
死後脳を用いた統合失調症研究
Schizophrenia Research Using Post-mortem Brains
國井 泰人
1
,
日野 瑞城
1
,
富田 博秋
2
Yasuto Kunii
1
,
Mizuki Hino
1
,
Hiroaki Tomita
2
1東北大学災害科学国際研究所災害精神医学分野
2東北大学大学院医学系研究科精神神経学分野
1Department of Disaster Psychiatry, International Research Institute of Disaster Science, Tohoku University, Miyagi, Japan
2Department of Psychiatry, Graduate School of Medicine, Tohoku University
キーワード:
死後脳
,
post-mortem brains
,
統合失調症
,
schizophrenia
,
ブレインバンク
,
brain bank
,
発現量的形質遺伝子座解析
,
expression quantitative trait loci analysis
,
eQTL analysis
,
マルチオミックス解析
,
malti-omics analysis
Keyword:
死後脳
,
post-mortem brains
,
統合失調症
,
schizophrenia
,
ブレインバンク
,
brain bank
,
発現量的形質遺伝子座解析
,
expression quantitative trait loci analysis
,
eQTL analysis
,
マルチオミックス解析
,
malti-omics analysis
pp.417-424
発行日 2023年4月15日
Published Date 2023/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206889
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抄録
多様な生物学的研究における集約点として位置づけられる統合失調症死後脳研究は,基礎神経科学分野の多大な貢献を背景にして,近年その重要性が増し続けている。加えて,その役割は従来のほかの研究アプローチで得られた所見の検証というものから,より多数例,網羅的,探索的なものへと変化してきている。また,次世代シーケンサーなどの先端技術の導入により,死後脳から得られる情報はマルチオミックスデータ,空間プロファイリングデータなどビッグデータとなってきており,これらを有効に活かすにはデータサイエンス分野との連携も欠かせない。世界的には,精神疾患死後脳のマルチオミックス解析データを公開する向きも出ており,今後はこれらのデータを利用したin silicoな研究が増加すると思われる。将来的には,これらの解析から統合失調症分子病態の層別化が進み,新たな観点からの病態解明,創薬,個別化医療の実現につながることが期待される。
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