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第5土曜特集 生体イメージングの最前線――絶え間ない技術革新と生命医科学の新展開
イメージングで神経活動を解析する
シナプスイメージングを基軸とした精神病態の多階層理解
Multi-scale understanding of psychiatric pathophysiology based on synaptic imaging
林(高木) 朗子
1
Akiko HAYASHI-TAKAGI
1
1理化学研究所脳神経科学研究センター多階層精神疾患研究チーム
キーワード:
2光子励起イメージング
,
光遺伝学
,
マルチスケール
,
精神疾患
,
因果性
Keyword:
2光子励起イメージング
,
光遺伝学
,
マルチスケール
,
精神疾患
,
因果性
pp.380-385
発行日 2023年7月29日
Published Date 2023/7/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28605380
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さまざまな精神疾患の病態生理に,なんらかのシナプス機能の変容が関与すると考えられているが,シナプス階層が行動という上位階層を制御する責任病態生理なのか,あるいは疾患の結果にすぎないのかは未解明である.そもそも,どの神経回路の,どのようなシナプス機能,すなわち,シナプス入力の異常なのか,結合様式の異常なのか,神経統合・神経演算の異常なのか.それとも,シナプスの可塑性が病因なのか.だとしたら,そのような異常な可塑的変化を元に戻せば,治癒への回帰プロセスへ至るのか.このような疑問に対して,すくなくともヒトにおいては明確なエビデンスはまったくないというのが現状であり,したがってメカニズムに立脚した治療法に到達できるはずがない.本稿では,モデル動物を使用したシナプスイメージングを駆使することで,モデル動物の脳内で生じている現象を分子,シナプス,樹状突起,細胞,回路,そして行動まで,構成的かつマルチスケールに精神疾患を理解する重要性を述べる.
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