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特集 小脳研究の未来
Ⅱ.シナプス・神経回路
小脳LTD/LTP—小脳学習を支えるシナプス可塑性
Cerebellar LTD/LTP:synaptic plasticity which underlies cerebellar learning
掛川 渉
1
,
柚﨑 通介
1
Kakegawa Wataru
1
,
Yuzaki Michisuke
1
1慶應義塾大学医学部生理学Ⅰ教室
キーワード:
長期抑圧
,
長期増強
,
運動学習
,
グルタミン酸受容体
,
光遺伝学
Keyword:
長期抑圧
,
長期増強
,
運動学習
,
グルタミン酸受容体
,
光遺伝学
pp.23-29
発行日 2021年2月15日
Published Date 2021/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201305
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小脳神経回路の要衝を担う顆粒細胞軸索平行線維-プルキンエ細胞間シナプス(平行線維シナプス;図1A)は,神経活動に応じてその形態や機能を柔軟に変化させる。この現象は“シナプス可塑性(synaptic plasticity)”と呼ばれ,Marr,Albus,伊藤らによる小脳学習理論(Marr-Albus-Ito理論)が提唱された1970年代以降,運動記憶・学習の分子基盤として世界中で注目されてきた1)。その間,培養神経細胞標本や急性脳切片を用いた電気生理学的手法と遺伝子改変動物作製技術の飛躍的な進歩により,シナプス可塑性を担う数多くの分子が同定された。本稿では,平行線維シナプスで生じる2つの代表的なシナプス可塑性:長期抑圧(long-term depression;小脳LTD)および長期増強(long-term potentiation;小脳LTP)の分子機構と生理的役割について,筆者らの最近の研究成果を含めて概説する。
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