Japanese
English
特集 器官の発生と再生の基礎
成体ニューロン新生における血管の役割
Vascular regulation of neurogenesis in the adult brain
澤本 和延
1
,
松本 真実
1
,
澤田 雅人
1
Sawamoto Kazunobu
1
,
Matsumoto Mami
1
,
Sawada Masato
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科 再生医学分野
pp.215-219
発行日 2014年6月15日
Published Date 2014/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101611
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胎生期において神経と血管のネットワークは共通のメカニズムによって相互依存的に発生し,両者には伴走性がみられるようになる。成体脳においては血管のネットワークは既に完成しているが,側脳室の外側壁に沿って存在する脳室下帯(ventricular-subventricular zone:V-SVZ,図1A)と海馬歯状回の顆粒下層の2か所では,神経幹細胞が一過性増殖細胞と呼ばれる活発に増殖する前駆細胞を経て,継続的に新生ニューロンを産生する1,2)。
Palmerらの研究によって,神経幹細胞や前駆細胞が血管に接して存在していることが明らかになって以来3),成体ニューロン新生の調節に血管がかかわっている可能性が示唆されている。一方で脳が傷害を受けると,ニューロン新生と血管新生が促進され,脳組織の再生に寄与すると考えられており,再生過程にみられるニューロン新生と血管新生の協調的な関係は,胎生期に起こる神経-血管形成の相互依存性の再現のようにも思われる。すなわち,胎生期と同様に,成体脳のニューロン新生においても血管が重要な働きをしている可能性がある。
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