Japanese
English
連載 医療システムの質・効率・公正――医療経済学の新たな展開・Vol.5
医療において高齢者や複合課題をもつ世帯は経済的に保護されているのか
Who are left behind?
――Financial protection for older persons and households with multiple challenges in healthcare in Japan
佐々木 典子
1
Noriko SASAKI
1
1京都大学 大学院医学研究科 医療経済学分野
キーワード:
高齢者
,
医療福祉
,
経済的保護
,
複合課題
,
Behaviour Change Wheel(BCW)フレームワーク
Keyword:
高齢者
,
医療福祉
,
経済的保護
,
複合課題
,
Behaviour Change Wheel(BCW)フレームワーク
pp.231-236
発行日 2023年7月15日
Published Date 2023/7/15
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28603231
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Summary
医療費の支払いで家計が破綻しないよう,日本には医療費の自己負担による困窮から家計を経済的に保護するためのさまざまな政策や制度がある.国民皆保険,社会福祉,高額療養費制度,無料低額診療事業および生活保護などの諸制度がそのなかに含まれるが,長引く経済の停滞による格差拡大の影響もあり,経済的困窮により医療を受けられない人の増加や,受診抑制行動が増加している等の指摘がある.本稿では,経済的困難のために医療サービスから取り残されやすい人々の特徴,医療に関連する経済的な課題,使用されていない具体的な制度,個人や世帯内で課題がしばしば複雑化している現状等について,関西地域での調査結果から明らかとなった内容を紹介する.また,実践的な支援に結びつく制度や支援のあり方を考える理論的枠組みとして,MichieらのBCWフレームワークを紹介する.特に複合課題を持つ世帯への政策介入を含む対策を検討する際に活用していくことが期待される.
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