特集 低所得階層と結核
生活保護世帯の実態—大阪市における極貧階層
三宮 茂人
1
1大阪市民生局
pp.193-198
発行日 1961年4月15日
Published Date 1961/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202392
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まえがき
極貧階層という言葉の中に生活保護法による被保護階層と,実質的には極貧生活を営んでいるが,保護基準に達しないいわゆるボーダーライン階層の二つが含まれていると考える。前者の結核症については種々な統計資料もあり,且つ対策も実施されているものであるが,後者の階層についての検討は尚少いようである。この点から公的医療扶助を受ける以前の結核症の様相を知る手段として,大阪市内各区福祉事務所に対して新規に医療扶助入院申請を行つて来た人々即ち在宅において何等かの治療を何等かの手段(自費,保険等)において行つていた人々あるいは,自覚症を以て発病を知り,医療費の捻出方法がない人々などについて検討を加えて見た。
これ等の人々の病症を知ることにより結核症についての考察を加え,又これを補う意味において,被保護結核世帯についての家庭環境の二,三の分析並びに現在大阪市が行つている被保護世帯に対する結核検診の実施方法,及び成績を述べることとする。
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