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第1土曜特集 ARDSの治療戦略――個別化診療への道筋
診断と鑑別
CT
-――病態の理解~予後予測まで
The clinical significance of high-resolution CT in ARDS
一門 和哉
1
Kazuya ICHIKADO
1
1済生会熊本病院呼吸器センター呼吸器内科
キーワード:
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
,
びまん性肺胞傷害(DAD)
,
高分解能CT(HRCT)
,
人工呼吸器関連肺損傷
Keyword:
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
,
びまん性肺胞傷害(DAD)
,
高分解能CT(HRCT)
,
人工呼吸器関連肺損傷
pp.24-29
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2860124
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1967年の最初の報告から,急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の病理組織像はびまん性肺胞傷害(DAD)であると考えられてきたが,多数の剖検症例の検討からDADの占める割合は約50%にすぎないことがわかってきた.さらに,組織学的にDADは独立した予後不良因子のなかで最も影響が大きい要素であることも確認されている.ただし,組織採取困難なARDSにおいて組織診断名であるDADの診断は臨床・画像所見から総合的に行わざるを得ない.高分解能CT(HRCT)所見はDADの特徴を反映しており,その他の急性呼吸不全をきたす鑑別診断を含めて重要な役割を果たす.また,HRCT所見はDADの病理学的病期をよく反映している.傷害発生からの経過より,急性浸出期,亜急性増殖期,慢性線維化期の主に3期に分類されるが,肺野全体が均一な病期ではなく,空間的にも時間的にも領域ごとの違いが認められる.さらに発症早期からの線維増殖性病変の評価は,治療反応性予測に重要であることが報告されてきた.ARDS診断時のHRCT上の牽引性気管支拡張像を呈する濃度上昇域の広がりは独立した予後因子であり,人工呼吸器離脱,人工呼吸器関連肺炎や圧外傷発生の予測因子でもある.
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