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第1土曜特集 抗体医薬の進歩と課題
リード抗体取得・エンジニアリング技術
【IgG型抗体】
抗体の体内動態制御に関わる受容体FcRnをめぐる話題
-――FcRnのバイオロジー,FcRn親和性改変抗体の開発動向,関連する研究
Development of FcRn-binding engineered antibodies to achieve long half-life
鈴木 琢雄
1
,
石井 明子
1
Takuo SUZUKI
1
,
Akiko ISHII-WATABE
1
1国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部
キーワード:
抗体医薬品
,
新生児型Fc受容体(FcRn)親和性
,
アミノ酸置換
,
血中半減期延長
Keyword:
抗体医薬品
,
新生児型Fc受容体(FcRn)親和性
,
アミノ酸置換
,
血中半減期延長
pp.875-879
発行日 2023年6月3日
Published Date 2023/6/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28510875
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抗体医薬品はその他のバイオ医薬品などと比較して長い血中半減期を持つが,その機構の重要な因子が新生児型Fc受容体(FcRn)との結合である.FcRnはピノサイトーシスで細胞内に取り込まれた抗体とエンドソーム内で結合することで分解から保護し,抗体を細胞外に放出してリサイクリングさせる役割を持つ.このため,血中半減期のさらなる延長を目指し,通常の抗体よりもFcRn親和性を上昇させたアミノ酸改変抗体が開発され,近年,数品目が承認されている.抗体医薬品の血中半減期延長のためには,酸性でのFcRn親和性以外にFcRn結合のpH依存性,等電点やCDR(complementarity determining region)のチャージバランスなども考慮する必要がある.また,ヒトにおける血中半減期を予測するためのツールとして,ヒトFcRnトランスジェニックマウスが開発されるとともに,細胞を用いたリサイクリング効率予測に関する研究も進められている.血中半減期を延長するメリットは大きく,今後も多くのFcRn親和性改変抗体医薬品が開発されるものと考えられる.
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