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CASE
患者:46歳現在まで未治療の高LDL-C血症患者。母親に高コレステロール血症と59歳での心筋梗塞あり。社会人となり、ほぼ毎年、健康診断で高LDL-C血症を指摘されていたが、卵の食べ過ぎに気をつけるようにと言われた程度で、特に内服処方などは受けていなかった。今年の健診では、TC 442 mg/dL、HDL-C 52 mg/dL、TG 153 mg/dL、LDL-C 359 mg/dL。アキレス腱肥厚が著明のため、皮膚科受診時に家族性高コレステロール血症を疑われ、内科紹介となった。喫煙歴(20本/日×27年)がある。糖尿病・慢性腎臓病・高血圧症・動脈硬化性疾患の合併はないが、耐糖能異常(BG 113 mg/dL、HbA1c 6.1%)がある。リポ蛋白(a)高値ではないが、頸動脈超音波検査でIMT(intima media thickness)が最大1.2 mmあり、著明なアキレス腱肥厚(X線検査で最大18.1 mm)を認めている。
臨床経過:診断基準(表1)1)から家族性高コレステロール血症(familial hypercholesterolemia:FH)と診断し、少なくともLDL-C<100 mg/dLを目標に、ロスバスタチン20 mg(追加後cLDL-C 183 mg/dL)、エゼチミブ10 mg(追加後cLDL-C 130 mg/dL)、コレスチミド3,000 mg(追加後cLDL-C 113 mg/dL)、PCSK9(プロ蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9型)阻害薬[現在はレパーサ®(140 mg)を2週に1回](追加後cLDL-C 50 mg/dL)。
症例から学んだこと:典型例のFHヘテロ接合体である。未治療時LDL-C高値、アキレス腱肥厚、家族歴のある際には、診断基準に則り診断を進め、見逃さないことが大切である。本CASEはFHのため、LDL-C管理目標値は少なくとも100 mg/dL未満となる。「重症FH」2)にも該当するため、リスクがさらに高い症例としてLDL-C管理目標値70 mg/dL未満も考慮するとよいと思われる。PCSK9阻害薬も含めた強力な脂質低下療法が有用と考えられた。
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