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連載 救急で出会ったこんな症例――マイナーエマージェンシー対応のススメ・Vol.9
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)とは?
-――新型コロナウイルス感染症や熱中症に紛れている危険な感染症を見逃すな!
What is Severe Febrile Thrombocytopenia Syndrome(SFTS)?
――Don’t overlook dangerous infections that can be confused with coronavirus disease-2019 and heat stroke!
大村 大輔
1
Daisuke OMURA
1
1岡山大学病院総合内科・総合診療科
キーワード:
COVID-19
,
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
,
熱中症
Keyword:
COVID-19
,
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
,
熱中症
pp.833-838
発行日 2023年5月27日
Published Date 2023/5/27
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28509833
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◎重症熱性血小板減少症候群(SFTS)はテレビや新聞などで取り上げられ急速に人口に膾炙している.しかし実際に診たことのある医師が多いとは言えず,さらに意外に知られていないが,西日本と東日本で浸淫度に違いがある.SFTSは特に西日本全域で急速に増加しており,比較的まれな東日本に流入するのも時間の問題と思われる点を強調したい.さらに夏季を中心に高熱・頭痛・倦怠感,筋肉痛,食思不振,吐き気,嘔吐,下痢等の症状を呈する本疾患は,2020年以降は特にCOVID-19や熱中症と時に紛らわしく,自験例を含めて鑑別を要するため診断に時間がかかる事例が散見される点も忘れてはならない.また新型コロナ禍でのアウトドア・リクリエーションの隆盛やペット飼育のブームなども,これらの状況の悪化に拍車を掛けている.草むらや藪でのマダニとの接触可能性や原因不明の病気をもつネコやイヌとの接触歴等の病歴では本疾患を想定し,早期の採血などを検討する必要がある.
SFTSは日本紅斑熱やツツガムシ病などと症状が類似しており鑑別が難しいが,血液検査で白血球減少(<4000/μL)・CRPが正常値であること,意識障害を伴っていることなどはSFTSを疑う特異度を上昇させる.特異的な治療法は存在しないが,早期発見のうえでバイタル管理などが重要となるため,留意したい疾患である.
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