Laboratory Practice 〈微生物〉
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
谷 英樹
1
,
西條 政幸
1
1国立感染症研究所ウイルス第一部
pp.1164-1167
発行日 2013年11月1日
Published Date 2013/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543104095
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はじめに
重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome,SFTS)は,ブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類される新規ウイルス〔SFTSウイルス(severe fever with thrombocytopenia syndrome virus,SFTSV)〕によるダニ媒介性感染症として新たに命名された.2011年に中国でこのウイルスによる新規感染性疾患が報告されて以来,中国国内の調査から7つの省(遼寧省,山東省,江蘇省,安徽省,河南省,湖北省,浙江省)で患者発生が確認されている1,2).日本国内においても,2012年秋に発熱や血小板減少などの症状を呈し死亡した患者から,ウイルス学的に初めてSFTSVによる感染症と診断され,それ以降,過去の死亡例を含めこれまでに十数名の感染例が明らかとなった3,4).
SFTSは死亡率が10%以上と感染症による死亡率としては高く,ワクチンや治療薬はない.感染を予防するにはマダニに咬まれないようにすることが重要であり,また,医療機関においてはヒト間の接触感染経路があることから院内感染予防としての標準予防策の遵守が重要である.
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