Japanese
English
第1土曜特集 自律神経のサイエンス
血圧と自律神経
血圧調節における自律神経の役割
The role of autonomic nervous system in blood pressure control
岩瀬 敏
1
Satoshi IWASE
1
1愛知医科大学脳神経内科,江南厚生病院脳神経内科
キーワード:
腎交感神経活動
,
心臓交感神経活動
,
筋交感神経活動
,
“の” の字型制御
,
圧受容器反射
Keyword:
腎交感神経活動
,
心臓交感神経活動
,
筋交感神経活動
,
“の” の字型制御
,
圧受容器反射
pp.550-556
発行日 2023年5月6日
Published Date 2023/5/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28506550
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
血圧の要因として循環血液量,心拍出量,末梢血管抵抗,血液の粘着度がある.それぞれを支配する交感神経活動は主に腎,心臓,骨格筋で,延髄血管運動中枢の支配下にあり,圧受容器反射を用いたフィードバック機構により支配されている(“の” の字型制御).延髄血管運動中枢は吻側腹外側野(RVLM)にあり,孤束核の入力から尾側腹外側野(CVLM)を介して入力される.心臓交感神経による心臓への入力は心拍出量を増加させ,血圧を上昇させる一方で,迷走神経による心拍出量の低下,血圧下降によりバランスを保つ.筋交感神経活動は覚醒下のヒトで記録できる唯一の交感神経活動で,各種刺激により増加することで血圧を上昇させる.腎交感神経活動は主にレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系を賦活化して循環血液量を保ち,バソプレシンとともに血圧を維持する.これまでの降圧薬はフィードバック機構を遮断することにより降圧を図るが,高次中枢による緩徐呼吸の導入で,自律神経を意識的に動かして降圧を図る可能性が示唆された.
Copyright © 2023 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.