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第1土曜特集 自律神経のサイエンス
体温調節と自律神経機能
自律性体温調節と行動性体温調節の相互作用
-――環境の温度刺激に対する応答からの考察
The interaction between autonomic and behavioral thermoregulatory responses
――Consideration from the research about thermal perception of the environment
永島 計
1
Kei NAGASHIMA
1
1早稲田大学人間科学学術院体温・体液研究室
キーワード:
温熱的快・不快感
,
寒冷逃避行動
,
冷え性
,
皮膚温
,
視床下部
Keyword:
温熱的快・不快感
,
寒冷逃避行動
,
冷え性
,
皮膚温
,
視床下部
pp.540-547
発行日 2023年5月6日
Published Date 2023/5/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28506540
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体温調節は,代謝や環境との温度差を利用して生存に至適な体温を維持することを目的とする.哺乳類や鳥類では,たとえば寒冷環境において探索・逃避などによる行動性体温調節と,自らの代謝を増やして熱を作る自律性体温調節を行う.しかし,この2つの調節様式がいかに関わり合っているのかは明らかでない部分が多い.冷え性のヒトでは,寒冷時に末端皮膚の強力な血管収縮反応(自律性体温調節)が生じ,同時に冷感覚が亢進する.この応答は同じ環境温度でも寒がりや厚着であるなどの冷え性のヒトに共通してみられる体温調節行動を特徴づける.ヒトの温度感覚は,狭義の温度感覚と,その情動に関わる温熱的快・不快感に分類されている.温熱的快・不快感は心理生理学的にも神経学的にも狭義の温度感覚と分離され,特定の脳部位が関わっている.マウスでみられる逃避・探索行動は体温調節に直接関わっており,これには皮膚からの温度入力が重要である.
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