特集 伝達物質と受容体
4.ペプチド
オレキシン
視床下部による自律機能の調節におけるオレキシンの役割
桑木 共之
1
Tomoyuki Kuwaki
1
1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科統合分子生理学分野
pp.474-475
発行日 2009年10月15日
Published Date 2009/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100925
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循環や呼吸などの自律機能のホメオスタシスは下部脳幹(橋・延髄)の神経機構で維持されている。実験動物の下部脳幹前端で脳を離断しても血圧や呼吸はほぼ正常に保たれ,動脈圧受容器反射や呼吸化学反射という基本的な反射にもほとんど影響しない。視床下部の役割は,心臓や肺など個々の臓器を支配するのではなく,複数臓器の調和した調節,体温・血糖・細胞外液量などの全身的変量の調節,ならびに外部環境への適応である。
オレキシン含有神経細胞の細胞体は視床下部のみに局在し,その軸索を中枢神経系内に広く投射させている(図)。この解剖学的特徴は,上述の視床下部による自律機能調節の役割をオレキシンが担っていることを予想させる。これを検証するために筆者らが最近行った実験結果を以下に紹介する。
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