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第5土曜特集 循環器病学の未来──基本計画から考える循環器病学のグランドデザイン
大きく変貌する循環器疾患の診療と研究
循環器病の予防・治療ワクチンの開発
Vaccine development for cardiovascular diseases
中神 啓徳
1
Hironori NAKAGAMI
1
1大阪大学大学院医学系研究科健康発達医学寄附講座
キーワード:
ワクチン
,
抗体誘導
,
免疫
,
免疫寛容
,
アジュバント
Keyword:
ワクチン
,
抗体誘導
,
免疫
,
免疫寛容
,
アジュバント
pp.1419-1424
発行日 2022年12月31日
Published Date 2022/12/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu283141419
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発において,mRNA(messenger RNA)ワクチンなどの新しいモダリティを用いたワクチンが迅速に開発され,技術開発が進んだことにより,今後は感染症以外の分野のワクチン開発も加速することが予想される.これらのワクチンを循環器病の治療に応用するにあたって抗体の標的分子が内因性タンパクである場合には,細胞性免疫の誘導により自己免疫疾患を誘発するリスクがあり,安全性への対応が求められる.開発に向けてエピトープ解析が重要であり,循環器病の治療に必要な免疫応答を効率よく活性化することが将来の成功につながる.感染症以外のワクチンとしては,認知症や高血圧を標的としたワクチンがすでに臨床試験のフェーズで検討されはじめている.基礎研究においては高血圧,糖尿病,脂質異常症に対するワクチン開発に加えて,近年,老化細胞除去によるワクチンも報告され,循環器病の治療にもつながる新しい治療法として期待される.
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