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特集 A型・E型肝炎の最新動向
【A型肝炎】
最近のA型肝炎の疫学・臨床像・診断の特徴
Characteristics of recent epidemiology, clinical symptoms, and diagnosis of hepatitis A
古賀 道子
1
,
堤 武也
1
,
四柳 宏
1
Michiko KOGA
1
,
Takeya TSUTSUMI
1
,
Hiroshi YOTSUYANAGI
1
1東京大学医科学研究所感染症分野
キーワード:
アウトブレイク
,
性感染症
,
伝染性単核球症
,
IgM-HAV抗体
Keyword:
アウトブレイク
,
性感染症
,
伝染性単核球症
,
IgM-HAV抗体
pp.120-123
発行日 2022年7月9日
Published Date 2022/7/9
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28202120
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A型肝炎は,A型肝炎ウイルス(HAV)に汚染された食物や水の摂取によって感染が成立する糞口感染症のひとつである.衛生状態の整った日本では,高齢者を除きHAVに対する抗体保有率が低下し,アウトブレイクが起きやすくなっている.2018年にみられたアウトブレイクでは,若年男性の性的接触者が多く,A型肝炎は国内で性感染症のひとつであることが示唆された.潜伏期間は14~28日で,再燃や劇症化することもあるが,終生免疫を得て回復する比較的予後良好な一過性の肝炎である.臨床症状は発熱,全身倦怠感,食欲不振,下痢などのほか,39度以上の高熱,異常リンパ球の出現など,伝染性単核球症を呈すこともある.また,HAVは発症前約2週間~発症後数カ月まで長期に便中に排出され,感染者は発症前から感染源になりうる.診断には血中IgM-HAV抗体が有用であるが,発症初期は陰性のこともあり,時間をおいて再検査を施行することも必要である.
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