小児における肺高血圧症の診断と治療

Diagnosis and treatment for pediatric pulmonary hypertension

　小児における肺高血圧症（PH）は成人に類似した側面と，小児特有の原因，遺伝的背景，診断，治療を考える側面とがある．小児のPHは多彩な原因により生じるが，基本的な臨床分類は成人と共通の臨床分類（ニース分類1～5群）で考えることができる．小児では，1群の特発性肺動脈性肺高血圧（IPAH），遺伝性肺動脈性肺高血圧（HPAH），先天性心疾患に関連する肺高血圧（CHD-PH），新生児遷延性肺高血圧（PPHN），2群の先天性・後天性の左心疾患によるPH，3群の肺の発達に関連するPHが重要である．なかには複数の臨床分類を併せ持つPH症例が存在するため，正確な診断に基づいて治療方針を考えることが重要である．本稿では，PHの新しい定義とともに小児のIPAH/HPAHとCHD-PHを中心に病態，診断，治療について解説する．