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第1土曜特集 肺高血圧症のすべて――病態研究と治療法の最前線
各論
慢性呼吸器疾患に伴う肺高血圧症の診断と治療
-――PAH特異的治療薬による治療は必要か?
Management of pulmonary hypertension in patients with chronic respiratory diseases
――Vasodilator therapy of pulmonary hypertension in patients with chronic respiratory diseases
倉石 博
1
Hiroshi KURAISHI
1
1日本赤十字社長野赤十字病院呼吸器内科
キーワード:
肺高血圧症(PH)
,
慢性呼吸器疾患(CRD)
,
肺血管拡張薬(PAH特異的治療薬)
,
右心カテーテル検査(RHC)
Keyword:
肺高血圧症(PH)
,
慢性呼吸器疾患(CRD)
,
肺血管拡張薬(PAH特異的治療薬)
,
右心カテーテル検査(RHC)
pp.380-385
発行日 2023年2月4日
Published Date 2023/2/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28405380
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慢性呼吸器疾患に伴う肺高血圧症(CRD-PH)はWHO分類では3群に分類されており,非常に予後が悪い1).慢性閉塞性肺疾患(COPD),間質性肺疾患(ILD),睡眠時無呼吸症候群,肺胞低換気症候群,肺結核後遺症などの拘束性肺疾患などが含まれるが,代表的な疾患はILDとCOPDである.また呼吸器疾患があるため,確定診断のための右心カテーテル検査(RHC)が躊躇される傾向にあり,早期診断が難しい.疑った場合にはスクリーニング検査を組み合わせてRHCを検討すべきである.治療は “酸素療法” と “基礎疾患の治療” 以外にはエビデンスがないというのが一般的な解釈である.しかし,右心不全を繰り返すような症例において,酸素療法のみで予後を改善するのは不可能である.WHO主催の第6回肺高血圧症ワールドシンポジウム(6WSPH)では,1群に分類される肺動脈性肺高血圧症(PAH)に対して使用されている肺血管拡張薬(PAH特異的治療薬)をCRD-PH症例に使用すべきかどうかについて考察している2).当院でも効果的な症例を経験しているが,結論を出していくためには臨床試験が必要である.
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