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第1土曜特集 肺高血圧症のすべて――病態研究と治療法の最前線
各論
左心系心疾患による肺高血圧症の診断と治療
Management of pulmonary hypertension associated with left heart disease
杉村 宏一郎
1
Koichiro SUGIMURA
1
1国際医療福祉大学成田病院循環器内科学
キーワード:
左心系心疾患による肺高血圧症(PH-LHD)
,
臨床分類
,
左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)
,
左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)
Keyword:
左心系心疾患による肺高血圧症(PH-LHD)
,
臨床分類
,
左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)
,
左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)
pp.374-379
発行日 2023年2月4日
Published Date 2023/2/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28405374
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肺高血圧症(PH)の臨床分類は現在5群に分類されている.そのなかで “左心系心疾患による肺高血圧症(PH-LHD)” は最も頻度が高く,その割合は50%に上るといわれている.PHの機序として,弁膜疾患や左室流入障害をきたす左心系心疾患に起因する左房圧の上昇に,圧伝搬による肺静脈圧,そして肺動脈圧の慢性的な圧上昇に伴い肺動脈性肺高血圧症(PAH)に認められるような肺血管の組織的変化が加わり,さらなる肺動脈圧の上昇をきたす.左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)だけでなく,左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)においてもPHは合併する病態であり,その予後への影響が示されている.しかし,治療としてPH-LHDに対する肺血管拡張薬の有効性はいまだに臨床試験において示されていない.定義,診断,治療について,欧州心臓病学会(European Society of Cardiology:ESC)/欧州呼吸器学会(European Respiratory Society:ERS)による肺高血圧症(pulmonary hypertension:PH)ガイドライン(2022 ESC/ERSガイドライン)でいくつかの点が改訂された.PH-LHDに関して解決されていない臨床的な課題が多く,今後のさらなる研究に期待される.
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